目次
・異常気象という言葉を例に考えてみる
・いつもむっつりしている男が無邪気にはしゃいでいる
・ひとを正常もしくは異常と判定するというのは
・意味がわかった途端、胸中に兆す疑念
ひとはみな、当たり前のように、何かや誰かのことを、正常だとか、いや異常だとかと言うけど、ひょっとすると、誰ひとりとして、その正常とか異常とかいう言葉の意味を、真剣に考えてみたことがないのかもしれないな。
ひょっとすると、その言葉の意味をちゃんと説明できるひと、いないのかもしれないな。
みなさん、そう思いながら、頬杖をつき、遠くを見つめたこと、ありませんか。
正常、異常という言葉について、前回お目にかかったとき、みなさんとこんな話を交わしました。
★★これがその「前回」です(参考)★★
ふだんのみなさんにとって、健康という言葉は、「苦しんでいない」ということを表現するものであるいっぽう、病気という言葉は、「苦しんでいる」ということを、その苦しみが手に負えないようなときに表現するものではないか、って。
つまり、みなさんがふだん、やれ健康だ、やれ病気だとしきりに言うことで争点にするのは、「苦しくないか苦しいか」ではないか、って。
だけど医学が、やれ健康だ、やれ病気だとしきりに言うことで争点にしてきたのは、それとはまったく別のことだった。正常か異常か、だった。
実に医学は、健康を正常であること、病気を異常であることと独自に定義づけてやってきたんだ、って。
ところが、いまさっき冒頭で触れましたように、じゃあ、その正常とか異常とかいう言葉の意味はいったい何なのか(英語で言うと、organizedとdisorganized?)となると、イマイチ、はっきりしませんね?
誰かが、それらの言葉の意味を論じているのを、みなさん、見かけたことあります?
俺、ウン十年生きてきて、ただの1度も見かけたこと、ありませんよ。
みなさんはどうですか。若い頃から一生懸命いろんな本を読みあさりながら黙々と思索を重ねてきたみなさんですら、ひょっとすると、正常とか異常とかいう言葉の意味が論じられている場面を見た覚えは0なのではありませんか?
今回は、正常、異常というそれら言葉の意味を、みなさんと一緒に考えます。ふだんみなさんが、それらの言葉をポロっと口に出す場面を例にとりながら、ね?
それら言葉の意味が明確になったとき、もしかすると、何か、非常に貴重な発見があるかもしれませんよ?